家族の絆と母親の役割
以前、「子ども手当は育児の社会化」という記事で、子ども手当は育児の社会化であり、家族の解体に繋がるということを書きましたが、民主党は、まだその考えを捨てていないようで、民主党子ども・男女共同参画調査会で、子ども手当の所得制限導入に否定的な声が相次ぎ、出席者からは「所得制限は『すべての子どもの育ちを社会全体で支援する』という理念に反する」という反対意見もあったというニュースがありました。
◇子ども手当:所得制限導入に民主は反対一色 (毎日新聞 平成23年4月23日)
民主党子ども・男女共同参画調査会は22日、厚生労働部門会議との合同会議を開き、10月以降の子ども手当の扱いについて議論を始めた。公明党が主張する所得制限を容認するかが大きな焦点。出席者からは所得制限導入に否定的な声が相次ぎ、反対一色の状況となった。
子ども手当は9月まで15歳以下の子ども1人当たり月額1万3000円を支給することが決まっている。政府は10月以降について与野党協議の結果を踏まえ制度設計する方針。
自民、公明両党が現行の子ども手当に反対しているため、民主党執行部は支給額を月額1万円に引き下げ所得制限をかける公明党案で党内をまとめたい考え。だが、出席者からは「所得制限は『すべての子どもの育ちを社会全体で支援する』という理念に反する」などと反対意見が相次いだ。
育児の社会化を目指す子ども手当は見直すべきですし、子ども手当との導入とともに廃止された年少扶養控除は元に戻して、子供たちを育てる家庭を支援するような政策が必要ではないでしょうか。今回の大震災に際して、家族の絆の大切さや、母親の役割の重要性について、日本子守唄協会理事長の西舘好子さんが書かれた寄稿をご紹介したいと思います。
◇【被災地の皆さんへ】日本子守唄協会理事長・西舘好子さん (産経新聞 平成23年4月18日)
母親がつなぐ「絆」の本質
未曽有の大震災から一カ月が過ぎた。
神戸の震災で避難所に流れていた子守唄(うた)から生きる力をもらったというメールが協会に寄せられ、その思いを被災地に届けたい、と慰問隊を編成した。浄土宗の報恩明照会では日頃から「心の寺子屋」活動という巡回事業があり、その応援を得て避難所となっているお寺にいる皆様にまず歌を届けようとなった。
震度6強の余震があった8日早朝、メンバー5人は、長靴姿、食料持参で車に乗り込んだ。東北道に乗る。福島に入ってからは停電のためドライブインのトイレは洗面所の水も出ない。スタンドでの給油も無理。その先が通行止めとなっている古川で高速を降りて一般道を通り、宮城・気仙沼まで走る。道はでこぼこで亀裂を生じ、橋では迂回(うかい)を余儀なくされる。東北は「満身創痍(そうい)」ということを目の当たりにした。
気仙沼の「浄念寺」に着いたのは夕刻4時、玄関で女の子たちが遊んでいる。その手に猫が一匹。「この猫おなかが大きいの」。1千キロに及んだ被災地の旅で動物を見たのは後にも先にもこの1匹だけだった。
避難生活を続けている40人あまりの被災者の皆さんの間に入り、子守唄や唱歌を歌う。東北の春はまだ遠く寒さは厳しい。お寺の畳と障子、並んでいる仏像に守られている空間にあるぬくもりが少し被災者の心を和らげていると感じた。
被災者の皆さんが聴きたいのは故郷の歌だという。「大漁節」「さんさしぐれ」などがリクエストされ、手拍子があちらこちらから始まった。
被災者も一緒に歌い、涙が頬をつたった。妻子を流されたという男性は「遠い先祖の声が励ましをくれるようだ」といった。先祖が、祖母が、母が、歌ってくれた子守唄がこの大災害で心底役に立ったと思う。
行って本当に良かったと思う。子供はどこでも元気だし、その元気が大人たちの頑張る力になっている。「家族が一緒にいられてうれしい」「お母さんが居てくれるだけでいい」。避難所で聞く子供たちの声は「家庭不在」になりつつある日本社会への大きな警鐘のように思えた。停電が続く夜、闇の中を野外の仮設トイレに手をつないでいく母子の姿があった。
豊かさとは何か。物質や金銭では代えられない多くのことを感じ、味わい、愛や苦しみを、笑いや泣くことを、母親が家庭の中で子と一緒に紡いでいくのが本当の生きる姿ではないのではないだろうか。貧しくても家には母親がいてほしい、生と死をつなぐのが「絆」の本質なら、今一度声を大にして「母よ家庭に戻れ」と言いたい。
現代は人の世も心のありようも自然すらも危険と隣り合わせ、子にとって母親が自分を守っていてくれる家庭こそが希望と安心の光なのではないだろうか。
平時にはその重要さが分からないが、日本の精神の底力を支えたのは「家族」という意識だ。大災害は暮らしの中で刺すような冷たさで散らばっている日常のさまざまな「貧しさ」を浮き彫りにさせ、私たちに本当に生きる豊かさとはなにか、を教えているのかもしれない。(寄稿)
◇
【プロフィル】西舘好子
にしだて・よしこ 昭和15年、東京生まれ。劇団「みなと座」主宰など演劇界で活躍。平成12年、NPO法人「日本子守唄協会」を設立し、現理事長。命のつながりや母と子の絆の大切さを訴え、子守唄の力で虐待に歯止めをかける全国キャラバンプロジェクトも展開している。3女に4人の孫がいる。
◇子ども手当:所得制限導入に民主は反対一色 (毎日新聞 平成23年4月23日)
民主党子ども・男女共同参画調査会は22日、厚生労働部門会議との合同会議を開き、10月以降の子ども手当の扱いについて議論を始めた。公明党が主張する所得制限を容認するかが大きな焦点。出席者からは所得制限導入に否定的な声が相次ぎ、反対一色の状況となった。
子ども手当は9月まで15歳以下の子ども1人当たり月額1万3000円を支給することが決まっている。政府は10月以降について与野党協議の結果を踏まえ制度設計する方針。
自民、公明両党が現行の子ども手当に反対しているため、民主党執行部は支給額を月額1万円に引き下げ所得制限をかける公明党案で党内をまとめたい考え。だが、出席者からは「所得制限は『すべての子どもの育ちを社会全体で支援する』という理念に反する」などと反対意見が相次いだ。
育児の社会化を目指す子ども手当は見直すべきですし、子ども手当との導入とともに廃止された年少扶養控除は元に戻して、子供たちを育てる家庭を支援するような政策が必要ではないでしょうか。今回の大震災に際して、家族の絆の大切さや、母親の役割の重要性について、日本子守唄協会理事長の西舘好子さんが書かれた寄稿をご紹介したいと思います。
◇【被災地の皆さんへ】日本子守唄協会理事長・西舘好子さん (産経新聞 平成23年4月18日)
母親がつなぐ「絆」の本質
未曽有の大震災から一カ月が過ぎた。
神戸の震災で避難所に流れていた子守唄(うた)から生きる力をもらったというメールが協会に寄せられ、その思いを被災地に届けたい、と慰問隊を編成した。浄土宗の報恩明照会では日頃から「心の寺子屋」活動という巡回事業があり、その応援を得て避難所となっているお寺にいる皆様にまず歌を届けようとなった。
震度6強の余震があった8日早朝、メンバー5人は、長靴姿、食料持参で車に乗り込んだ。東北道に乗る。福島に入ってからは停電のためドライブインのトイレは洗面所の水も出ない。スタンドでの給油も無理。その先が通行止めとなっている古川で高速を降りて一般道を通り、宮城・気仙沼まで走る。道はでこぼこで亀裂を生じ、橋では迂回(うかい)を余儀なくされる。東北は「満身創痍(そうい)」ということを目の当たりにした。
気仙沼の「浄念寺」に着いたのは夕刻4時、玄関で女の子たちが遊んでいる。その手に猫が一匹。「この猫おなかが大きいの」。1千キロに及んだ被災地の旅で動物を見たのは後にも先にもこの1匹だけだった。
避難生活を続けている40人あまりの被災者の皆さんの間に入り、子守唄や唱歌を歌う。東北の春はまだ遠く寒さは厳しい。お寺の畳と障子、並んでいる仏像に守られている空間にあるぬくもりが少し被災者の心を和らげていると感じた。
被災者の皆さんが聴きたいのは故郷の歌だという。「大漁節」「さんさしぐれ」などがリクエストされ、手拍子があちらこちらから始まった。
被災者も一緒に歌い、涙が頬をつたった。妻子を流されたという男性は「遠い先祖の声が励ましをくれるようだ」といった。先祖が、祖母が、母が、歌ってくれた子守唄がこの大災害で心底役に立ったと思う。
行って本当に良かったと思う。子供はどこでも元気だし、その元気が大人たちの頑張る力になっている。「家族が一緒にいられてうれしい」「お母さんが居てくれるだけでいい」。避難所で聞く子供たちの声は「家庭不在」になりつつある日本社会への大きな警鐘のように思えた。停電が続く夜、闇の中を野外の仮設トイレに手をつないでいく母子の姿があった。
豊かさとは何か。物質や金銭では代えられない多くのことを感じ、味わい、愛や苦しみを、笑いや泣くことを、母親が家庭の中で子と一緒に紡いでいくのが本当の生きる姿ではないのではないだろうか。貧しくても家には母親がいてほしい、生と死をつなぐのが「絆」の本質なら、今一度声を大にして「母よ家庭に戻れ」と言いたい。
現代は人の世も心のありようも自然すらも危険と隣り合わせ、子にとって母親が自分を守っていてくれる家庭こそが希望と安心の光なのではないだろうか。
平時にはその重要さが分からないが、日本の精神の底力を支えたのは「家族」という意識だ。大災害は暮らしの中で刺すような冷たさで散らばっている日常のさまざまな「貧しさ」を浮き彫りにさせ、私たちに本当に生きる豊かさとはなにか、を教えているのかもしれない。(寄稿)
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【プロフィル】西舘好子
にしだて・よしこ 昭和15年、東京生まれ。劇団「みなと座」主宰など演劇界で活躍。平成12年、NPO法人「日本子守唄協会」を設立し、現理事長。命のつながりや母と子の絆の大切さを訴え、子守唄の力で虐待に歯止めをかける全国キャラバンプロジェクトも展開している。3女に4人の孫がいる。
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