広島市子ども条例、また提案見送り

 広島市で制定が進められている「広島市子ども条例」(子どもの権利条例)ですが、12月定例市議会への提案が、また見送りになりました。このブログで広島市の子ども条例を取り上げるのは初めてですが、「また」というのは、これまでにも2月、9月に上程が見送られているからです。

 広島市で子どもの権利条例制定の動きが出始めたのは、平成18年頃だと思いますが、翌19年には「第1回広島市子どもの権利に関する条例(仮称)について意見を聴く会」を開催し、それ以降行政側は条例制定を推進してきました。一方で条例の危険性に気づいた方々は、平成20年には「子どもの権利条例制定に反対する広島市民の会」を結成し、同会が中心となって「子どもの権利条例を考えるシンポジウム」を開催したり、反対の署名活動を行ったりしてきました。その後も、PTA関係の団体など、子どもの権利条例に反対する様々な団体が署名活動や反対のデモ行進などを行い、今日まで制定されずに来ています。
※「広島市子ども条例」制定に反対し子供を守る教師と保護者の会:賛同団体

 そうした中、今年の9月には、広島県教委までが、子どもへの権利侵害があった場合に学校に改善を要請できる第三者機関の設置に対し、円滑な学校運営が妨げられる懸念があるとして、条例素案を紹介する市作成のパンフレットを、県立学校に配布することを拒否したのです。

 広島市の動きについては、またお伝えしたいと思いますが、先ずは最近の動きを2つばかりご紹介しました。広島市の例については、こちらのブログやHPもご覧頂ければと思います。

「広島市子ども条例制定反対HP」

「広島市子ども条例(「子どもの権利条例」)を考える~!」


「子ども条例」提案見送り 広島市産経新聞 平成22年12月1日

 広島市が今年度中の制定を目指している「子ども条例」について、市は30日、12月定例市議会(7日開会)への提案を見送ることを明らかにした。今後の見通しについて秋葉忠利市長は、会見で「タイミングや環境を勘案し、最適の時期に提案することになるだろう」と述べた。

 市は条例素案の市民説明会を10月にも全8区で開いたが、「権利の乱用で家庭や学校が混乱する」などの懸念の声が目立っている。 一方、条例化に賛同する市民団体は早期制定を求める請願を提出しており、12月議会で審査する。秋葉市長は「趣旨がきちんと生きるよう、満場一致での可決が良いという考え方もある。議会への働きかけを続けたい」と話した。


広島市の子ども条例冊子 広島県教委が配布拒否
  第三者機関設置に難色「学校運営の妨げ」
中国新聞 平成22年9月18日

 広島市が本年度中の制定を目指す子ども条例をめぐり、広島県教委は17日、条例素案を紹介する市作成のパンフレットを、県立学校に配布することを拒否する考えを市に伝えた。子どもへの権利侵害があった場合に、学校に改善を要請できる第三者機関を設置する内容に対し、県教委は円滑な学校運営が妨げられる懸念を表明。素案に基づく条例に反対の立場を明確にした。

 県教委と市によると、市は7月、市内在住の生徒が通う県立高校や特別支援学校へのパンフレット配布を了承してもらうよう県教委に要望。県教委は回答を保留していたが、17日に「承諾できない」と電話で答えた。

 条例は、いじめや虐待の防止、不登校に悩む子どもを支援することが目的で、市は昨年12月に素案を発表。学校で子どもへの権利侵害があった場合、子どもや保護者の救済申し立てを受けて調査し、学校に改善要請できる第三者機関の設置などを盛り込んだ。

 県教委指導3課の中村弘市課長は「第三者機関に円滑な学校運営が妨げられる懸念がある。配布を承諾すると素案に賛同したと誤解を受ける」と説明。県教委は、携帯電話の校内への持ち込みや、バイク免許取得などを禁止する校則をめぐって救済を申し立てられる懸念を示す。

 市こども未来企画課の小川仁志課長は「パンフレットは市民に情報提供し、是非を判断してもらうもの。配布を拒む理由は理解できない。県教委には何度も説明しているが、あらためて説明に行きたい」としている。

 子ども条例の制定に対しては、市議会内にも「子どもの行き過ぎた権利主張を招く」などと反対意見が根強い。市は14日開会の市議会定例会への条例案提出を見送っている。

--------------------------------------------------------------------------------
広島市子ども条例素案 子どもの幸福のために、①子どもが安心して生きる②愛情をもって育てられる③子どもが豊かに育つ④子どもが参加する―の四つの環境整備を掲げる。1989年に国連総会で採択され、日本が94年に批准した「子どもの権利条約」に基づく。いじめや虐待防止に向けた施策指針のほか、被害者の救済に動く第三者機関の設置を盛り込む。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック